午前5時、水晶小屋のトタン屋根から雨音が聞こえる。
今日は一日中雨模様のようだ。
小降りになるまで待っていても仕方なさそうなので、恨めしく空を仰ぎ小屋を出る。
土砂降りでもなし、風もなしなので、雨を楽しもうと気分を変えてみる。
稜線ですれ違う人はほとんどいない。
今日の楽しみは、数日前に電話予約を入れておいた湯俣温泉・晴嵐荘の温泉に入ること。
見たことのない可愛い花。
家に帰って調べたら、ミヤマコゴメグサというらしい。

森林限界より上のブルーベリーは人のくるぶしぐらいの高さしかないが、実をたくさんつけている。
チョット頂くと甘酸っぱい味が疲れを癒やしてくれる。

真砂岳から湯俣温泉に通じる竹村新道は長く辛いと聞いていた。
雨でぬかるんだ泥で足が滑る。濡れた木の根っこや熊笹で尻餅をつきそうになるのを耐えて下山した。

視界は約40m。
靄の中を歩くのは、しんどいものであるが、槍の穂先が一瞬見えた。
この竹村新道は晴れていればどんなにか眺望の素晴らしのだろうと思った。
水晶小屋から7時間弱で今日の宿、晴嵐荘に到着。
ここに泊まることにしたのは、ホームページが充実していたからである。
ページを見ると、槍ヶ岳北鎌尾根の学習院、早稲田大学の幻の初登攀争いが繰り広げられた地であると欠かれていた。登山史上のストーリーがあることも魅力的だ。

一歩中に入ると、アントニオ・カルロス・ジョビンの曲が静かに流れていた。
スピーカーの側には洋酒が飾られていて山小屋じゃない雰囲気。
山には音楽はいらない。山では自然界の音と心臓の鼓動に耳を澄ますべきというのが持論。
でも、この小屋では、なんか許してしまっても良いかなあって感じ。

泉質は単純硫化水素泉。
4回入っちゃいました。

5時半からという夕飯の前に、散歩に出かける。
吊り橋を2回渡って大きな石がゴロゴロの河原を歩いて行くと・・・・

そこには、何とも不思議な造形が。
憤湯丘というらしい。
地下から石灰成分を含んだお湯が勢いよく噴き出し巨大な蟻塚のようなものを創り上げたのだ。
写真ではスケールが分からないと思うが、高さは180cm ぐらいある。

夕飯は豚バラの味噌なべと讃岐うどん。デザートには手製のシャーベットがついた。
ジャズ・酒・山が僕の3大好きなもの。
管理人さんもどうやら同じ趣味らしい。
なかなかないんだな。3つとも好きな人に巡り会うこと。
また来ますね。
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