書籍・雑誌

2014年8月14日 (木)

『破門』 と 『春の庭』

僕の好きな作家・黒川博行が直木賞候補、苦節6回目にして、やっと栄冠を手にした。
嬉しく思ったので、普段は文庫化されるまで買わずに待つ新作だけれど、単行本を買って読んだ。従来通り、桑原・二宮コンビの舌戦は健在だが、暴力団への締め付けが強化する時代を反映してか、今ひとつパワー不足かなあ。
皆さんが、もし初めて黒川の疫病神シリーズに手にするなら、是非「疫病神」「国境」を読んでから今回の「破門」を読むことをお薦めします。その方が、より楽しめるから。

直木賞のついでに芥川賞受賞作も読みたくなったので文藝春秋を買った。
柴崎友香「春の庭」。
独特な雰囲気、言葉も巧み、ずっとこの虚構の世界に浸っていたいと思った。
久しぶりに読後の余韻を楽しめる作品を読ませてもらった。

実は、小生、痛風の発作がまた左膝に来て、思うように動けなくなったので、本に手が伸びたに過ぎない。大好きな市営プールにも行けないしね。
治したいので禁酒を4日間も続けてしまった。僕にとっては奇跡。
まあ、酒がない方が思考回路は潤滑である。それは実感できた。
でもね、わかっちゃいるけどやめられない。
まだ膝に痛みがあるのに、一夜干しの烏賊が送られてきたという理由で、(しかたなくなく)日本酒を飲んでいる懲りない男です。

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2014年5月11日 (日)

痛風で「モンスター」

大型連休明けの日曜日、連休中より天候が安定するのが常だ。

そして、エネルギーも金も使い果たした人が多いのか、行楽地の人出は比較的少ない。

今日も文句のつけようのない五月晴れ。

本当なら富士山に登っているはずだった。

忌ま忌ましい痛風発作に見舞われなければ・・・

毎年、連休明けの日曜には僕が所属する「山の会」恒例の富士登山が行われる。雪に覆われた富士山は実に手強いが実に素晴らしい。

エントリーして楽しみにしていたのに、ドタキャンをせざるを得なかった。

右膝が痛くなり動くことが出来なくなったのだ。

今年は、自分が世話をしているぬか床の調子がすこぶる良く、美味しいぬか漬けでビールがすすむ。それがいけなかった。

お調子者の僕だから、毎晩ビール1リットル+α飲み続けていたら、このザマである。

早く治したい一心?で、ネットで「痛風」を検索したら、ポリフェノールが血液中の尿酸値を下げるという。

ビールは勿論、酒は全て痛風に毒だが、赤ワインだけは薬になるのだと書いてあった。
これぞ福音と、赤ワインを一本空ける。翌日、膝が余計に痛くなった。

何の情報でも自分に都合良く解釈してしまう、意地の汚さが祟った。

Img_1898外は本当に良い天気。絶好の行楽日和なのに・・・

身動きのとれない僕は、仕方なく、寝そべって本を読むことにした。

選んだのは、百田尚樹の「モンスター」。

1年以上前に買った本だが、美容整形を繰り返すモンスターのように醜い女の話とあって、「なんだかなあ~」いう感じで読まずに放ってあったのだ。

僕が持っていることを知らない家内が、つい先日買って来たので、我が家には同じ本が2冊ある。もともと読書をしない家内なので、彼女も読んでいない。

家に2冊もあるんだから、1冊だけでも読まなきゃ損と思い、読んだ。

内容は、予想してたとおりの「なんだかな~」であったが、一文一文が短く簡潔なのですらすら読める。

「ふむふむ、女ってこんな感じ、こんな感じ」と共感しながら読めた。

形成外科に関しては、十分に調べているのだろうけれど、歯科に関しては取材が甘いよ。口元の突出感は物語の中で記述されているようには簡単には治せない。咬み合わせがあるからね。

最初から終わりまで劣等感、嫉み、恨みがベースの物語なので、読後、鬱屈したものが心に残る。

でも、最後の中村うさぎの「解説」が面白い。この解説があって、この本は救われていると思った。

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2014年3月 9日 (日)

「独立器官」なんじゃこれ

文藝春秋が去年の12月号から連続して掲載している村上春樹の短編小説の第4弾。

第3弾の「木野」が良いできだったので、今回も期待して、また雑誌を買ってしまった。

でも、なんだかなあ・・・・・

今回の「独立器官」って小説、本当に村上春樹が書いたの????

処女作を読んで以来彼のファンであり続けているのに、なんかガッカリ。

天下の文藝春秋だから、まさか偽物ってワケはないのでしょうが、「村上ワールドを誰かが真似ようとしたらこんな感じになるかも」という作品。

メインの二人の登場人物が魅力的に描かれていない。俗人過ぎる。

悪霊とか精霊の幻に苛まれて死ぬという展開ならハルキらしいけれど、拒食症で死ぬ恋煩いなんて芸がないよね。

村上ワールド的なのは、ゲイの秘書(描写に奥行きがないが)と独立器官という言葉くらいかなあ。

阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件以降、下界に降りてきてしまった村上春樹はオーラが薄くなったような。

まあ、次回を期待しましょう。

一方、芥川受賞作の「穴」はイイナ。不思議な世界にいざなってもらえた。

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2013年1月24日 (木)

9条どうでしょう

昨年秋、SNSを通して、内田樹(うちだたつる)の存在を知る。

氏のブログを見て、今「私淑」に近い状態。言葉を操る達人。知性に圧倒される。青春期に、三島由紀夫や大江健三郎の知性に「痺れた」経験を持つが、そのときに近い感覚。明快な理論の組み立てが快感である。

2006年の安倍政権の動きに反応して単行本が発売され、6年たった今、第2次安倍政権誕生のタイミングで文庫本化され、店頭に並ぶという縁がおもしろい。

執筆している4人共に改憲必要なしとの立場であるが・・・・・

9条を考えるきっかけを作ってくれる良書だと思います。

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2012年7月22日 (日)

エロ本×2

Img_0242赤い帯にやられた。

都内の本屋で平積みに・・・・・

「エロ本」という大きな文字に反応。横目でチェックし、ひとまず通り過ぎ、二三歩進んでから踵を返す。万引きするわけでもないのに人の視線を気にしながら、手に取ってみる。

ホイチョイ・プロダクションズ作品というのも、郷愁をさそった。

表紙の「やれる店」「sex」「エロ本」の羅列は、真っ赤な嘘。ただの蘊蓄満載の東京グルメガイドである。

昔は、グルメ本たくさんあったのに、ネットに押されて少なくなったような気もする。

まず商品を、手に取らせるところまで行けば半分成功なのだろう。ぱらぱら見たが、この本、写真を一枚も使わず、イラストだけというのも面白い。

公正取引委員会に訴えてやる、と思いつつも購入。

Img_0240_3これも帯が効いた。

「この官能文庫がすごい!」にやられた。

僕らの世代にとって、官能小説といえば、御三家、宇能鴻一郎、川上宗薫、富島建夫、諸先生には独身時代ずいぶんとお世話になったものである。

最近は、手にすることもないが、今でも、本屋で双葉文庫、祥伝社文庫、竹書房ラブロマン文庫等の陳列棚の前に来ると、なぜか足早に通り過ぎてしまう僕です。

「李下に冠を正さず」というか、地元の本屋では、全く関心のない素振りをするものの、都内の本屋となると勝手が違う。

匿名社会で変貌するわけで、買ってしまった。

レジが女性の店員さんのときには、裏返して渡したりしてしまうのですが・・・買ってしまった。

そして、読んでしまった。

すごかった。

何が凄いって、とてつもなく、哀しくて、切ない内容。最後には嗚咽しそうになる。

こんなにジーンと心に浸みる官能小説は初めてだった。

草凪優。初めて読んだが、40代の作家ながら、なかなかの腕の持ち主だと思う。

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2012年5月25日 (金)

霞町物語

J-WAVE で浅田次郎の「霞町物語」の朗読番組をたまたま聴き、興味を持ったので買って読んでみた。

いうなれば、「少年時代の部」と「青春時代の部」の2部構成から成る短編集。

青春時代、日比谷高校であろうところの生徒のヤンチャぶりは、映画「アメリカン・グラフィティー」を彷彿させ、痛快で甘酸っぱい世界に誘ってくれる。

東大紛争あたり、日比谷高校の生徒といえば、庄司薫「赤ずきんちゃん気をつけて」の世界が脳裏に浮かんでくるが、この本の主人公は同時代でありながら、全く違うタイプの不良である。日比谷高生が、車を乗り回し、夜な夜な六本木のディスコで酒を飲み、女の子をナンパして湘南のホテルにしけこんでいた????

浅田次郎は、1951年生まれだから、庄司薫とは世代が異なる。大部分はフィクションであろうが、このように信じられない設定でも、作者の筆にかかると妙にリアリティーを感じる。田舎者の私が、まさに青春時代、夢描いた憧れの東京の風俗だ。

もし、この本が、放蕩息子のエピソードだけに終始していたら、読者から共感はえられなかっただろう。作者がうまいのは、少年時代の家族風景の短編をうまく交互に配置しているところにある。

特に祖母を描いた「雛の花」は、圧巻で、声に出して読みたくなる名文だ。

読んでいて、涙が滲んできた。

「笑うときは大口あけて笑う。ワッハッハ。そんで、泣きたくなったら奥歯でグイと噛んで、辛抱する。男は毎日それのくり返し。一生それのくり返し・・・・」

こんな名台詞を吐く祖父を描いた「卒業写真」も素晴らしい。

名著です。

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2012年2月25日 (土)

「50歳を越えても30代に見える生き方」 南雲吉則

本屋で平積みになっていたこの本の前を、3往復ぐらいして迷った挙げ句、買ってしまった。

帯の文句、「こう見えても56歳なんです」に引きつけられたのか。

帯の写真が、瞬間的に、郷ひろみと重なって見えたからかも知れない。

著者は、1955年生まれのお医者さん。

やはり、お化けのように若く見える「郷ひろみ」と同い年。

とてもスリムで僕よりずっと若く見える。

僕は、1956年生まれ。

ひとつ上の先輩にコンプレックスをずっと持っていたような気がする。

1955年(昭和30年)生まれは、特異的な学年で、郷ひろみの他にも、西城秀樹、野口五郎、いわゆる新御三家を始め、掛布、江川、千代の富士。

スティーブ・ジョブス に ビル・ゲイツ。

ひとつ上には、才人が目白押し。

それに引き替え、我が56年組は、マーブルチョコレートの上原ゆかり、「笑点」の山田隆夫、雷門ケン坊(覚えているかな?)ぐらいが有名で、なんだか精彩に欠けて見える学年・・・・・・

まあ、それはそれとして、本書は、新書としてはすらっと読めて、面白かった。

特に、人生の節目にあるという「2乗の法則」の話。

1×1=1歳までが乳児期、2×2=4歳までが幼児期、3×3=9歳までが小児期・・・・・・いくら長生きしても、ヒトは11×11=121歳が限度であるというのが興味深かかった。

全体に通底するのは、長生きの秘訣は、「禁煙」、「運動」、「腹6分目」というような耳ダコの話であるが、文章にメリハリがあり、堅苦しくないので楽しく読めた。

このところ寒い日が続いたせいか、運動不足で腹がせり出してきた。

少し暖かくなってきたので、ひとつ上に負けないように、明日からまた頑張ってみるとするか。 

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2011年12月29日 (木)

阪急電車

Joe ちゃんが最近のお気に入りだというので、早速、取り寄せて読んだ。

サラッとよめた。裏表紙にあるとおり、ほっこり胸キュン。

こういうの好きだなあ。

巻末の解説が今年亡くなられた児玉清氏。

解説を読んで、作家が女性と初めて知る。

「有川 浩」・・・・字面から作者はてっきり、男性と思いこんで読んでいた。カワイイ恋人に向ける視線、描写に男としてすごく共感持てたし・・・・作者がよもや女性とは。なるほど、そういえば、女性の視点からでしか書けない小説だよね。

老眼が進んだ昨今、表紙にあった「浩」のルビが、「HIRO」と書いてあったのに気付けなかった。やれやれです。

映画化され、今年の4月に公開されたのも全く知らなかった。震災と原発のニュース一色の時期だったものね。

とまれ、読めば、きっと人に優しくなれる。背筋がしゃんと真っ直ぐに伸びる。読んでいない方は、年末年始、どうか手にお取り下さい。

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2011年12月27日 (火)

13階段

小説をたくさん読むようになったのは、ここ2,3年ぐらいから。

笑われちゃうかも知れないが、「13階段」という小説の存在すら知らなかった。「ジェノサイド」を読むまでは・・・

友達のJoeちゃんが「お気に入りの本」と教えてくれたので、早速読んだ。

緻密なミステリー!クライマックスで背筋がゾクッと冷たくなることしばしば。

夢中でページをめくった。

個人的な経験からすると、「スティーブン・キング」の作品群や、「エイリアン」「ジュラシックパーク」以来のゾクゾク感が楽しめた。

ところで、東京拘置所の死刑執行の刑場が報道陣に初めて公開されたのは、昨年8月のこと。当時の千葉法務大臣の意向であるという。

約10年前のこの作品に、そのとおりの部屋の様子が記されている。

作品を読んでから、新聞に公開された刑場の写真を改めて見ると、心拍数が倍に上がるほど恐ろしく感じられる。裁判員には一生選ばれたくないものだ。

高野和明という人の文章は、極めて映像的だとしみじみ思った。

映画もあるというので、見てみようっと!

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2011年12月23日 (金)

ジェノサイド

気にはなっていたが、タイトルが恐ろしいので、買うのをためらっていた。

雑誌などで「すごい、すごい」というものだから、買って読んだ。

やはり、すごかった。

ハリウッド映画か手塚治虫の漫画を見ているような感覚。

それもその筈、作者は一時、映画監督を目指した経歴の持ち主とのことである。

高野氏原作、脚本、監督でハリウッド映画作らないかなあ。

この手のエンターテイメントは、ネタバレの情報に絶対接しないウチに読むべし。

ついさっき、アマゾンで書評を漁ったら、いろんなことが書かれていて、高揚していた気分が一気に削がれてしまった。

脳天気にワクワクして読めて良かった良かった。 

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