北信への旅
高野博士は国民の誰もが知っている文部省唱歌「故郷」を作詞した国文学者である。
その他にも「日の丸の旗」「紅葉」「春が来た」「春の小川」「朧月夜」の作者である。
ドラマ演出家、久世光彦は「みんな夢の中。続 マイラストソング」というエッセイの中、小学唱歌の項で、
「あの戦争のころ、もしこの国に《文部省唱歌》がなかったら、今この国はこうしてあったかどうかとさえ、私は思う。あの時代の大人や子供の、心のバランスを辛うじて保たせてくれたのは、明治のころからみんなで歌いつづけてきた、あの唱歌たちだったのではなかろうか」と述べている。
東日本大震災の直後、やはり、人々に最も歌われたのが「故郷」であったと聞いている。
記念館で博士の学問に対する飽くなき探究心、生き方、感性に触れ思わず涙してしまった。
前日は博士が愛し生涯を閉じた場所でもある野沢温泉に宿泊した。
外湯が13カ所もあり、そのうち5つの風呂に入った。
猛烈に熱くて入れない湯船もあったが、温泉を堪能した。
千曲河川敷に広がる一面の菜の花畑を散策した。
唱歌「朧月夜」の歌詞はこんな風景の中から生まれたに違いないと思った。
郷愁を誘う優しいお顔の人形達が展示されていた。
展示ディスプレイに相田みつを を模した書体で短文が添えて有り、我が故郷足利との繫がりを覚え、感慨一入だった。
北信には日本人の描く故郷の原風景があるように思えてならない。
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